電子レンジ+炊飯 について

電子レンジ+土鍋 美味しさのメカニズム

 初めちょろちょろ、中ぱっぱ、

      赤子泣いても蓋とるな

     

「電子レンジ+土鍋」の炊飯には、

 昔からのおいしい炊飯の秘訣が詰まっています。

 

加熱の初期段階では、土鍋が熱を吸収するので、急に温度が上昇しないため、「初めちょろちょろ」が理想的に行われます。

 

そして次の段階は、「電子レンジ+土鍋」 の炊飯が、他の加熱と大きく異なる点です。

「電子レンジ+土鍋」では、最初に土鍋の中の米と水がマイクロ波で加熱され、次に、加熱された米と水が土鍋を温める、という順序になります。その過程で、温められた土鍋がセラミックの特徴である遠赤外線を放出するので、マイクロ波加熱に遠赤外線加熱が加わり、温まりだすと急激に高温が作り出され沸騰が激しくなります。

これは、「かまど」での炊飯が、火が直接「お釜」を温めるだけでなく、「かまど」も温められて遠赤外線加熱が加わる過程と似ています。おいしい反面、吹きこぼれが起こりやすくなります。

急激に高温にして吹きこぼれる程の沸騰にする「中ぱっぱ」が、ご飯をおいしく炊く秘訣です。

 

最終段階の「蒸らし」にも、「電子レンジ+土鍋」 の炊飯は「かまど」と同様の効果があります。

お釜で炊いた御飯がおいしいのは、「お釜」だけではなく、「かまど」の温かい中で蒸らしを行うからです。「電子レンジ+土鍋」でも、加熱後の温かい電子レンジの中で蒸らしを行うことで、温められた土鍋から放出される遠赤外線の効果を 全方向から受けることができるので、芯までふっくらとおいしい御飯が炊き上がります。 

沸騰している時も蒸らしている時も蓋を取らない「赤子泣いても蓋とるな」が、昔から変わらない おいしい御飯を炊くための秘訣です。

 

 

 浸さなくても芯ができないメカニズム

 

容器に土鍋を用いて電子レンジで炊飯する場合は、最初に200Wまたは解凍モードで一定時間加熱して、その後500Wに切り替えて炊飯すれば、浸さなくても芯のないご飯が炊き上がりますその理由は、電子レンジのマイクロ波加熱の特徴と、土鍋の熱容量の大きいことによる効果です。

その理由は、電子レンジのマイクロ波加熱の特徴と、土鍋の熱容量の大きいことによる効果です。

 

マイクロ波での加熱は、水の分子を振動させることによって発熱させる仕組みなので、振動しながら水の温度が上がり、米粒に速く水を浸み込ませることができます。しかし、米粒に十分に水が浸み込む前に水の温度が上がると、米粒の表面の糊化が始まってしまい、その後の加熱でも米粒の中心部には水が浸み込まなくなってしまいます。容器に土鍋を用いると、熱容量が大きいので、加熱した熱を吸収し水の温度の上昇を遅らせるので、米粒表面の糊化を防ぎます。 

 

さらに、マイクロ波の、中心から加熱される特徴も、芯ができにくくするのに役立っています。

ガス炊き用の炊飯土鍋との違い

「土鍋で炊いた御飯が美味しい」というのはよく知られていることです。特に、土鍋の産地、四日市の万古焼のガス炊き用の炊飯土鍋には優れた商品が沢山あり、しっかりとした厚みのある本体と、二重蓋または重みのある蓋が特徴です。ガスで炊いた時に、中火の強火程度の一定の火力で炊いても、炊き始めの熱を厚みのある本体が吸収する事で、いわゆる「初めちょろちょろ」を実現しています。「中ぱっぱ」の激しく沸騰する間は、二重蓋や重みのぁる蓋で抑え込み、蒸らしの間は、厚みのある本体と二重蓋や厚皆ある蓋で「赤子泣いても蓋とるな」と、しっかり保温を実現して、ガス炊きでの炊飯の理想を実現しています。(画像は万古焼ガス炊き用炊飯土鍋 ㈱華月製二合炊き(左) ㈱三陶製ご飯釜(右))

 

 

 ところが、電子レンジでガス炊き用炊飯土鍋を用いて炊飯すると、沸騰が激しくなりすぎて吹きこぼれてしまいます。激しい沸騰により、蓋に付けられた蒸気抜きの穴から声粒が飛び出してしまうこともあります。その原因は、電子レンジのマイクロ波加熱が中の物を直接温める加熱方法である事から起こります。中の米と水が温まってから、中の物からの熱伝導で炊飯土鍋が温められることによって沸騰が一気に起こるからです。

 御飯は吹きこぼれるくらいに激しく沸騰させて炊くと美味しく炊けることは、「かまど」や「飯盒」での炊飯でよく知られている事ですが、その激しい沸騰が電子レンジでの土鍋炊飯でも実現されるのです。

 激しく沸騰させて吹きこぼれを回避するためには、広い空間を確保することが必要で、ガス炊き用の炊飯土鍋をそのまま用いるのではなく、そのための解決策が必要だという事になります。